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大学中退後に士業の国家資格を取得する
最終更新日:2023年2月6日
大学中退後の進路として、
- 「弁護士」
- 「公認会計士」
- 「税理士」
- 「社会保険労務士」
などの、士業の国家資格の取得を考える人もいます。
士業の国家資格を取得すれば、資格を利用して就職活動が行えるので、「大学中退」の学歴が採用選考で問題になることがほぼなくなります。
また、就職した後の仕事には、士業の資格取得者が独占的に行える業務があることが多いので、仕事がなくなる可能性も低いです。
将来独立をすれば高額の報酬を得られる可能性もあります。
このように士業の国家資格取得は大学中退者にとっても魅力的なものですので、ここで「士業の国家資格の種類」や「資格取得に必要な勉強時間」「資格試験の受験資格」などについて解説します。
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1. 士業の国家資格の種類
士業の国家資格というと「弁護士」をイメージする人が多いかもしれませんが、その他にも魅力的な資格がたくさんあります。
士業の国家資格の中でも人気のある資格について、仕事内容や平均年収を見ていきましょう。
※平均年収は、当社の独自リサーチです。働き方(組織に勤務、独立開業など)によって、実際の年収とは違いが出てきます。
- 弁護士
- 弁護士は、社会正義のために戦う法律のプロです。
あらゆる法律を使いこなして、裁判の弁護や交渉、法的な相談や代理業務などを行い、トラブルから依頼者を守ります。
仕事のやり方次第では依頼者の人生が変わってしまうという、責任の重い仕事ですが、仕事が成功すれば、大きな達成感が得られます。
また、収入や地位、名声といった社会的信頼度が高く、将来の独立開業に強い職業です。
☆弁護士の平均年収
約1,088万円
日本弁護士連合会 - 公認会計士
- 公認会計士は、監査と会計の専門家です。
企業が経営状況を正しく公表しているかを調査して、財務状況を第三者の立場から評価します。
監査の他にも、会計業務やコンサルティング業務を行うことができるので、監査法人や会計事務所だけではなく、独立開業や一般企業のさまざまな分野で活躍することができます。
さらに、税理士の登録をすれば、税務業務も行えるようになります。
医師や弁護士とともに、日本の三大国家資格と言われることもあり、収入や社会的信用度、安定性は抜群によい職業です。
☆公認会計士の平均年収
約927万円
日本公認会計士協会 - 税理士
- 税理士は、税務に関するスペシャリストです。
企業や納税者の代わりに、会計処理や納税の書類作成、申請・申告をしたり、税金の相談やアドバイスを行います。
税理士事務所や企業内の税務部門で活躍している人もいますが、国家資格の中でも独立開業がしやすいので、自分の事務所を持つ人も多いです。
☆税理士の平均年収
約833万円
日本税理士会連合会 - 司法書士
- 司法書士は、法律に関する書類作成の専門家です。
不動産登記や商業登記、相続登記といった「登記業務」を得意として、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類作成や手続き、代理などを行います。
また、経営に関する法律を企業にアドバイスしたり、家庭裁判所への調停や審判の申立といった裁判業務など、法的な仕事を幅広く手掛けます。
司法書士は、行政書士よりも取得するのが難しいのですが、行政書士にしかできない書類作成があるので、両方の資格を取得して「書類作成のエキスパート」として活躍している人も多いです。
☆司法書士の平均年収
約708万円
日本司法書士会連合会 - 社会保険労務士
- 社会保険労務士は、企業の労務管理を適切にして、従業員の労働環境を整えるスペシャリストです。
従業員にとって働きやすい職場環境をつくるために、労働条件や社会保険についての指導や相談、手続きの代行をします。
デスクワークや細かい作業が多いので女性にも向いていて、女性比率は29.5%と、法律を扱う士業の中では女性の割合が高いです。(※1)
☆士業に占める女性の割合(2017年)- 社会保険労務士 29.5%
- 弁護士 18.4%
- 司法書士 16.8%
- 税理士 14.5%
- 公認会計士 13.7%
- 行政書士 13.4%
約617万円
(※1)日本弁護士連合会「弁護士白書2017年版」
全国社会保険労務士会連合会 - 行政書士
- 行政書士は、官公署に提出する書類作成の専門家です。
法務局に提出する書類は司法書士の管轄なので作成できませんが、- 国の機関や役所などの行政機関へ提出する書類(営業許可、会社設立、車庫証明、日本国籍取得など)
- 権利や義務、事実証明に関する書類(遺産分割協議書、交通事故調査書、示談書、念書、告発状、会社・法人の定款など)
数年の経験を得た後に独立開業をする人や、司法書士や社会保険労務士の資格を取得して、業務範囲を広げる人も多いです。
☆行政書士の平均年収
約605万円
日本行政書士会連合会 - 中小企業診断士
- 中小企業診断士は、中小企業の経営コンサルタントです。
企業の経営状態を診断して、経営のアドバイスをします。
あまり聞きなれない士業だと感じる人もいるかもしれませんが、20~40歳代のビジネスパーソンに聞いた「取得したい資格ランキング(総合)2016」(※2)では、堂々の1位に輝いた、注目されている資格です。
☆取得したい資格ランキング(総合)2016- 1位 中小企業診断士
- 2位 TOEIC(R)テスト(470~730点未満)
- 3位 TOEIC(R)テスト(730~860点未満)
- 4位 TOEFL(R)テスト
- 5位 宅地建物取引士
約600万円
(※2)NIKKEI STYLE「仕事で使える資格は何か~資格ランキング2016」2016年1月12日
一般社団法人 中小企業診断協会
これらの国家資格について、勉強時間や合格率、受験資格などについて詳しく見ていきましょう。
2. 士業の国家資格取得のための勉強
士業の国家資格を取得すると、就職しやすくなったり、高額の給料がもらえるので、安易に勉強をはじめる人もいます。
しかし、資格を取得するためには、長期間の勉強が必要になるので、
- 勉強を最後まであきらめない覚悟がある
- 勉強時間を確保できる時間的・金銭的余裕がある
の二つの条件を満たす必要があります。
士業の国家資格取得には、これだけの負担があっても取得する価値があると思いますが、勉強をはじめる前にどれくらいの勉強時間が必要かは知っておきましょう。
2-1. 士業の国家資格取得に必要な「勉強時間」
資格取得に必要な知識がまったくない状態から勉強をはじめて、合格するまでに必要なおおよその勉強時間を紹介します。
独学でも勉強できますが、ここでは専門学校などに通うことを前提とします。
あくまで一般的な傾向ですので、効率的な勉強ができる人はもっと短い時間で合格する人もいます。
- 弁護士
- 約8,000~1万時間
- 公認会計士
- 約3,000時間~5,000時間
- 税理士試験
- 約2,500~5,000時間
- 司法書士
- 約2,000~3,000時間
- 社会保険労務士
- 約800~1,000時間
- 行政書士
- 約800~1,000時間
- 中小企業診断士
- 約800~1,000時間
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3. 士業の国家資格の「合格率」と「受験資格」
資格を取得するためには、資格試験に合格する必要がありますが、それぞれの資格には受験資格があります。
また、試験の合格率も、それぞれの資格によって大きく違います。
そこで、ここでは士業の国家資格の受験資格や合格率などについて解説していきます。
- 弁護士司法試験の合格率と受験資格
-
<弁護士司法試験合格率(平成28年度)>
- 受験者数 6,899人
- 合格者数 1,583人
- 合格率 22.9%
「法科大学院を修了」もしくは「司法試験予備試験に合格」する必要がある。受験資格を取得後5年以内に合格する必要あり。
<司法試験予備試験合格率(平成28年)> (短答式試験受験者数と口述試験合格者数から算出)- 受験者数 10,442人
- 合格者数 405人
- 合格率 約3.8%
<司法試験予備試験受験資格>
制限なし(大学在学中、高校生でも受験できる)
<法科大学院合格率>
各大学院によって異なりますが、全法科大学院を平均すると合格率は50%前後
<法科大学院受験資格>
4年制の大学を卒業していることが必要(出身学部は問いません) - 公認会計士試験の合格率と受験資格
-
<公認会計士試験の合格率(平成28年)>
- 受験者数 10,256人
- 合格者数 1,108人
- 合格率 10.8%
制限なし - 税理士試験の合格率と受験資格
-
<税理士試験の合格率(平成28年)>
- 受験者数 35,589人
- 合格率 13.2%(科目別の合計)
<税理士試験の受験資格>
「学識(学歴)」「資格」「職歴」「認定」のいずれか1つを満たす必要があります。
詳しくは、国税庁のホームページで確認することができます。 - 司法書士試験の合格率と受験資格
-
<司法書士試験の合格率(平成28年)>
- 受験者数 16,725人
- 合格数 660人
- 合格率 3.9%
制限なし - 社会保険労務士の合格率と受験資格
-
<社会保険労務士の合格率(平成28年度)>
- 受験者数 39,972人
- 合格者数 1,770人
- 合格率 4.4%
社会保険労務士の受験資格を得るには、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つの方法があります。
詳しくは、社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確認することができます。 - 行政書士試験の合格率と受験資格
-
<行政書士試験の合格率(平成28年度)>
- 受験者数 41,053人
- 合格者数 4,084人
- 合格率 9.95%
制限なし - 中小企業診断士試験の合格率と受験資格
-
<中小企業診断士試験の合格率(平成28年)>
- 受験者数 13,605人
- 合格者数 2,404人
- 合格率 17.7%
制限なし
免除制度あり
4. 士業の国家資格取得者に取材をしてきました
公認会計士として活躍している方に、
- 大学中退後に士業の国家資格を取得すること
- 公認会計士や税理士のこれから
などについて質問をして聞いてきました。
大学中退者や士業の国家資格取得を目指している人に、役立つ情報がたくさんあるので、ぜひチェックしてみてください。
公認会計士・税理士の小松秀一朗さんに、大学中退者が公認会計士を目指すことについてお聞きしました。
5. 士業の国家資格取得以外に大学中退者が選べる進路
士業の国家資格取得以外の、大学中退者が選べる進路を、以下の記事で紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
6. まとめ
士業の国家資格を取得できれば、高額の年収が得られるなど魅力はありますが、試験は難易度が高く、勉強時間が1,000時間以上必要になる資格も多いです。
安易に国家資格取得を目指すのではなく、これだけの時間の勉強を継続できるかもう一度確認して、それでも目指したいという覚悟ができてから勉強をはじめるとよいでしょう。
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岸 憲太郎
・株式会社ウェイズファクトリー代表取締役
・関西大学総合情報学部卒業
人材紹介事業と就職や転職に関してのWEBメディア事業を行う(株)ウェイズファクトリーの代表をしています。
15年以上の就職支援経験を通じて、数百名の採用担当者や求職者と情報交換をしてきました。
それらの経験を社会に還元していくために、記事の監修だけでなく、編集にも深く関与して情報発信を行っています。
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