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中退した大学に再入学するための手続き
最終更新日:2023年10月5日
大学を中途退学したものの、
- 「大学中退では就職活動が上手くいかない」
- 「今後の人生のために大卒の学歴を得ておきたい」
などの理由から退学した大学への再入学を検討する人は少なくありません。
そのような人のために、ほとんどの大学で再入学ができるようになっていますが、再入学にはいくつか条件が設けられています。
そこでここでは再入学に必要な条件・費用・手続き方法について詳しく解説します。
再入学のメリット・デメリットも解説するので、再入学を検討している人も参考にしてみてください。
※大学から「除籍」を言い渡された人も再入学(復籍)できるので、こちらの記事を参考にしてください。
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1. 再入学に必要な条件とは?
退学した大学に再入学するためには、再入学に必要な条件を満たす必要があります。
どのような条件があるのか、ここで紹介するのでチェックしてみてください。
1-1. 退学してから期間が経ちすぎていないか
多くの大学では退学してから再入学までの期間を条件として設けています。
大学によって再入学可能期限は違いますが「退学後2~4年以内」としている大学が多いです。
しかし再入学できる期限を設けていない大学や、事情に応じて臨機応変に対応してくれる大学もあるので、一度大学に問い合わせることをおすすめします。
また再入学するためには、再入学願を提出する必要があり、再入学願を提出できる期間も決められています。
多くの大学では4月に再入学することだけを認めているので、再入学願の提出はそれ以前に行う必要があります。
再入学願の提出が再入学する年の3月前後まで可能な大学もありますが、前年の12月前後までとしている大学もあるので注意が必要です。
1-2. 納得できる退学理由か
中途退学した大学に再入学する際には、退学時の「退学理由」が重要な判断材料となります。
再入学の判断は教授陣の会議で決められることが多いので、一概にどういった退学理由であれば認められるかは定かではありません。
しかし何か問題を起こして懲戒退学となった場合や、留年を繰り返し在学可能年数を超えた場合以外の理由であれば、再入学を許可されるケースが多いです。
大学によって判断は異なりますが、主な退学理由と再入学できる可能性は以下のようになっています。
- 「病気や怪我」が理由で退学をし健康の回復をもって再入学したい場合は、再入学が認められやすい
- 「経済的な問題」があって退学した場合は、経済状況が落ち着いたなどの理由であれば認められやすい。ただし学費を滞納していた場合は、再度滞納される可能性があるため審査が厳しくなる可能性がある
- 「問題を起こした」ために大学側から除籍や退学を命じられた場合は、再入学が認められない可能性が高い。ただし起こした問題の内容を審議されるので、一概に認められない訳ではない
その他の「学業不振」や「人間関係」といった理由で退学した場合は、再入学を申請する際に提出する「志望理由書」などで、しっかり学業に励むことを伝えられれば特に問題にならないでしょう。
早稲田大学の再入学許可の可否
早稲田大学商学部の再入学許可の可否についてWEBサイト上に記載があったので、例としてここで紹介します。
なお退学の言葉の定義は以下のようになっています。
・任意退学...学生本人の願い出による退学
・措置退学...学生本人の意思以外に大学側から辞めさせられるもの
・懲戒退学...学生が犯罪や不正行為等を行い大学側から辞めさせられるもの
※ 出典:早稲田大学「再入学について」2022年1月
1-3. 再入学を繰り返していないか
再入学できるのは1回だけの大学がほとんどです。
以下のように2回以上の再入学を繰り返すことはできません。
退学 → 再入学 → 退学 → 再入学
2. 再入学のメリット
2-1. 受験勉強をせずに再度大学に通える
別の大学を再受験したり編入をする場合は、試験内容はさまざまですが再度受験しないといけないので、受験勉強のための時間と努力が必要になります。
一方で再入学をするために行われる再入学試験は、面接と書類審査であることが多く、大学によっては書類審査だけの場合もあります。
そのため受験勉強のために時間を割く必要がなく、現在働いていて忙しい人などもチャレンジしやすいと言えます。
2-2. 心機一転して大学生活を送れる
大学を何らかの理由で中退をしたとしても再入学を決めたということは、目標ができたり大学に通う意味やメリットを感じたりしたということだと思います。
目標を持ったり大学に通う意味がわかったりしていれば、退学前よりも有意義に大学生活を送れるはずです。
2-3. 既修得単位をそのまま引き継げる
他大学に編入したり転学をすると既に修得した単位の内、認められる単位は少なくなる可能性があります。
しかし退学した大学に再入学した場合、既修得単位のほとんどが単位認定されます。
また除籍になって単位を取り消された場合などを除き既修得単位はずっと有効なので、大学中退後に数年たっていても再入学時に単位を引き継げます。
除籍になった場合の単位の扱い
授業料の支払いができずに除籍になった場合、授業料を支払わなかった期間に修得した単位は取り消されていることが多いです。
除籍理由によって取り消される単位の範囲は違ってくるので、詳しくは各大学で確認してみてください。
2-4. 最終学歴が高卒ではなくなる
大学中退をすると最終学歴が高卒になりますが、再入学をして卒業できれば最終学歴は大卒になります。
最終学歴が大卒になると就職活動で大卒を条件にした求人に応募できたり、大卒資格を必要とする資格試験を受験できたりするようになります。
また同じ仕事でも高卒より給与が高かったり、昇進しやすかったりする場合もあります。
2-5. 新卒採用の求人に応募できる
大学中退をしたままでは新卒採用に参加することは難しいですが、再入学すれば新卒採用選考に参加できます。
新卒採用は仕事経験がないことを前提に採用が行われているので、正社員経験がない人にとってもっとも有利な採用選考であるといわれます。
3. 再入学のデメリット
3-1. また同じ悩みを持つ可能性がある
経済的理由や学業不振、人間関係など大学中退をした理由を克服できていないと、再度同じ悩みを持つ可能性があります。
再度退学をすると、その後に再入学をすることは大学の規約上できなくなります。
退学をした理由を振り返り、再度同じことで悩まないか考えてから再入学をする必要があります。
3-2. 再入学選考料や授業料、入学金を支払う必要がある
再入学に必要な費用は大学によって異なりますが、以下2つの費用は多くの大学で必要です。
- 再入学選考料(私立大学35,000円、国立大学30,000円程度)
- 再入学をした学期の授業料(国立で35万円、私立で65万円程度)
それに加えて再入学時も通常の入学時と同じように入学金が必要な大学もあり、入学金の全額や半額を再度支払わないといけないこともあります。
入学金の平均は私立大学で平均25万円、国立大学で28万2,000円程度です。
※ 出典:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」2021年
このように再入学にはまとまった費用が必要なので、自分の大学ではどの程度費用が必要かを確認しておくことをおすすめします。
また退学する際に未納の学費があった場合は、その費用もさかのぼって払う必要があります。
また再入学をする学年は退学前と同じ学年になることが多いので、同じ学年の授業料を重複して支払うことになり、トータルすると4年で卒業した場合に比べて学費は高くなります。
3-3. 就職するのが遅くなる
再入学して卒業するとなると年齢が高くなる人もいるでしょう。
求人票上では年齢制限を設けることができませんが、企業は仕事を覚えるのが早く伸びしろのある若者を採用する傾向にあるので、採用選考では年齢も評価に影響を与えます。
周囲の新卒との年齢差が3歳以内であれば、あまり不安になる必要はありません。
しかし22歳の新卒の中で26歳以上となると、大学院を出ていたり留学していた場合を除いて多少不利になることは覚悟しておきましょう。
4. 再入学のための事務手続き
<再入学願の受け取りと提出>
- 大学に訪問して再入学資格や手続き方法について説明を受け「再入学願」や「志望理由書」などの出願書類を受け取る
- 再入学願に必要事項を記入して保証人に署名捺印してもらう
- 志望理由書に再入学を希望する理由を記入する
- 書類の準備ができれば出願書類を大学の事務所に提出する
<再入学試験の受験>
- 再入学試験が必要な場合は選考料を金融機関から振り込む
- 後日、面接や小論文試験などが行われる
- 提出された書類や再入学試験の結果を参考に、教授会で審議を行い学長の許可が出れば再入学が認められる
<再入学>
- 再入学が認められると合格通知と再入学手続き書類が郵送される
- 再入学手続き書類に必要事項を記入して提出する
- 再入学金と学費を納入する
- 単位は退学するまでに取得した単位が引き継がれて、入学許可年次は退学をした年次になることが多い
5. 再入学願の見本
再入学願には以下の見本のように本人と保証人の署名、退学理由や再入学希望理由などを記載するケースが多いです。
再入学希望理由は志望理由書など別用紙に記入する大学もあります。
6. 大学中退後に再入学した場合の就職への影響
上記したように再入学をしたために卒業時点の年齢が高い場合は、年齢によって少し就職活動が不利になることがあります。
しかしその点を踏まえても、大学中退後に再入学して卒業すると最終学歴が大卒になるので、大学中退のままより就職に有利になることが多いです。
大学中退者は「継続力がない」という印象を持たれることが多いですが、再入学して卒業見込みがあれば、そのような印象も持たれません。
ただし「なぜ一度中退したのか」「なぜ再入学したのか」について質問されることが多いので、きちんと答えられるように準備しておくことが大事です。
自分の人生について真剣に考えた結果であったことや、やむを得ない事情であったことなどを伝えると理解してもらいやすいです。
7. 面接で「再入学した理由」を聞かれた場合の回答方法
面接官は再入学をした人に対して大学中退から再入学をするに至った経緯を知りたいと思うので、ポジティブな印象が残るように説明できるように準備しておくとよいでしょう。
以下に再入学した人の回答例文を掲載しておくので参考にしてみてください。
<病気を患い大学中退した後に、再入学した人の回答例文>
面接官
大学中退後に再入学をしていますが、どのような経緯があったのですか?
応募者
大学3年の時に、病気を患い、治療に時間がかかるため退学をすることにしました。しかし、大学ではまだ学びたいことも多くあり、卒業もしたいと考えていたので、治療が終わった際に、再入学を決めました。中退をした時には将来に悲観することもありましたが、病気による中退を経験したことで、本当にやりたいことについて真剣に考えることができました。同じように病気で苦しむ人の支えになる仕事がしたいと考え、再入学後は、日本と海外諸国の病気への考え方の違いについてゼミで研究しました。御社に入社できた際には、自身の闘病経験や、大学で学んだことを活かして、患者様の闘病生活を心身共にサポートできる製品を開発したいと考えております。
8. 再入学した場合の履歴書の書き方
退学後に再入学した場合は、その事実を履歴書に記入しておきましょう。
もし虚偽の内容を記載した場合は、最悪採用を取り消される場合があるのでやめておきましょう。
履歴書に再入学について記載する場合は、以下のように記載しましょう。
以下の記事では大学中退者の履歴書の書き方を、見本を示しながら1から詳しく解説しています。
大学中退後に再入学した人にも参考になる内容ですので、チェックしてみてください。
9. 別の大学に編入するという選択肢もある
大学中退後には中退した大学に再入学する以外に、別の大学に編入することもできます。
大学は2年次や3年次の編入生を募集していることが多く、3年次に編入する場合は、
- 前大学で2年次まで修了
- 60単位以上または62単位以上修得済み
という出願資格を設けていることが多いです。
編入学試験は通常の入学試験に比べると試験科目が少なく、以下の中から3科目程度がよく出題されます。
- 英語
- 志望学部の専門科目
- 小論文
- 志望動機
- 面接
試験科目が少ないので簡単と言われることがありますが、難易度は高く、それぞれの科目について深い知識が問われるので対策も必要になります。
しかし新しい大学で新しい人間関係の中で学べることには、同じ大学に通いなおすのとは違う価値があります。
自分にとって同じ大学に通うのと別の大学に通うのでは、どちらがよいのかよく考えて決めるとよいでしょう。
編入学については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
10. 大学中退後に選べる、再入学以外の進路
大学中退後には再入学や編入以外に「就職する」「専門学校に入学する」「公務員試験を受ける」などさまざまな進路があります。
以下の記事で大学中退後に選べる進路を紹介しているので、参考にしてみてください。
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岸 憲太郎
・株式会社ウェイズファクトリー代表取締役
・関西大学総合情報学部卒業
人材紹介事業と就職や転職に関してのWEBメディア事業を行う(株)ウェイズファクトリーの代表をしています。
15年以上の就職支援経験を通じて、数百名の採用担当者や求職者と情報交換をしてきました。
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